場所を決め、石を選び、形と文字を決め、基礎を打ち、石を据え、法要をして、はじめて「お墓」になります。
どこで迷いやすく、何を先に確かめておくとよいのか。建てるまでの順番を、ひととおりまとめました。
まず区画から。石の話は、そのあとです。
The plot comes first — the stone later.
ご遺骨を納められる場所は、法律で決まっています。埋葬や焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域で行ってはならないとされ(墓地、埋葬等に関する法律 第四条第一項)、その「墓地」とは、墳墓を設けるために都道府県知事——市や特別区では市長・区長——の許可を受けた区域を指します(同法 第二条第五項)。札幌市のような市では、市長の許可ということになります。
ですから最初にすることは、どの墓地に区画を得るかを決めることです。石の形や値段の話は、そのあとについてきます。
檀家になることが条件とされる場合があります。法要や供養を身近にお願いできる一方、宗旨・宗派の条件が定められている墓地があります。
宗旨を問わない区画があり、費用が抑えられるといわれます。申込みの資格や期間が決まっていることがあり、募集を待つ形になる場合があります。
区画や形の選択肢が広く、募集の時期を問わず申し込める区画もあります。指定石材店が決まっている場合があります。
同じ名前の石でも、採れた場所と等級で表情が変わります。
Even the same named stone varies by quarry and grade.
墓石には花崗岩(御影石)が使われます。選ぶときに見るのは色目だけではありません。水を吸いにくいか、硬いか、目(模様)はどうか。
石の名前は同じでも、丁場(採石場)や等級で色も価格も変わるとされます。見本帳の小さな片ではなく、できるだけ大きな面で見せてもらうのが確かです。
彫ってしまってからでは、直せません。
Once carved, it cannot be undone.
竿石・上台・中台を積む、古くからの形。「◯◯家之墓」「先祖代々之墓」や、宗派の題目・名号を刻みます。
雪や風の影響を受けにくいとされ、短い言葉を大きく刻めます。区画によっては高さの決まりで洋型になることもあります。
曲線や彫刻、好きだった花をかたどることも。霊園によって形・高さ・色に決まりがあります。
何が入っていて、何が入っていないかを見ます。
What the quote includes — and what it leaves out.
見積もりで困るのは、金額そのものよりも何が含まれているのかが分からないことです。「墓石工事一式」とだけ書かれていると、あとから追加が出たときに比べようがありません。
項目に分けてもらえないか、聞いてみてください。比べるために必要だと伝えれば、話は通ります。
完成してしまえば、誰にも見えないところです。
The part nobody sees once the stone is set.
お墓が傾くかどうかは、石そのものよりその下でどう支えているかで決まります。そして基礎は、据え付けてしまえば二度と見えません。
寒い土地では、凍上(とうじょう)——地中の水分が凍って地面が押し上げられる現象への備えが要ります。現象そのものは お墓のいま に断面の図で説明しています。
建てただけでは、まだ石です。
A stone becomes a grave through the rite.
着工できる季節が限られるぶん、逆算が要ります。
The season decides when work can start.
凍った地面を掘ることも、雪の中で据え付けることも難しくなります。時期によっては、着工を待つことになります。
雪が引いてから基礎を打ち、養生の期間をとって据付。思い立ってすぐ、とはいきません。
お盆や一周忌に間に合わせたいなら、その前の年の秋のうちに相談——そう考えておくと、慌てずに済みます。
金額から入らず、ここから考えると迷いにくくなります。
Five questions, before the price.
法令の条文と、書いていないことを記しておきます。
手続きの名称・必要書類・区画の決まりは、墓地や自治体によって異なります。作法や呼び名は宗派・地域・寺院や霊園の決まりによって異なります。本記事は一般に語られている内容をまとめたもので、一次資料で確認したものではなく、諸説あるものも含みます。実際に建てられる際は、菩提寺、霊園の管理者、石材店にご確認ください。